湿布の頻用

湿布にはインドメタシンをはじめとする、様々な薬剤が塗られています。そして湿布を貼ると、経皮摂取により、それらの薬剤が体内に侵入します。ですから湿布の使用でその薬剤の副作用に襲われる可能性は否定できないのですが、世間では全くと言ってよいほど危険視されていません。その証左として、湿布を使用する人は、その用法を守らない傾向があります。一般的な経口摂取薬、例えばインドメタシンと同じ効用をもつ解熱鎮痛剤を服用する場合は、その用法をしっかりと守り、「数時間経てばまた服用する」などといった危険な飲み方をする人はいないでしょう。用量についてもきちんと守るはずです。しかし湿布や塗り薬のような外用薬を使用する場合、間違った用法がもたらすリスクを軽んじてしまい、何度も塗り貼りしてしまうなど、使い方がいい加減になるのです。

 湿布薬の用途は広く、捻挫、腰痛、肩こり、筋肉痛の対処に用いられます。症状次第で貼る面積が大きくなったり、連日貼ったりすることもあるでしょう。そうすれば、経皮摂取される薬剤の量は馬鹿に出来なくなります。副作用まで真剣に心配しなければならないのだということを、ここで認識しておかなければなりません。

 湿布薬は薬ですから痛みを和らげてくれます。しかし痛みの根本原因を除いてくれるわけではありません。根本治療は血行を良くしたり、栄養を補給したりすることでしかないのです。そう考えると、湿布に頼るのも止めた方が良いことに気付きます。因みにその考えを補強するわけではありませんが、湿布の効果はかなりの部分をプラシーボ効果が占めています。湿布特有の冷たさ、温かさ、匂い等が、効いていると思わせてくれるのです。

湿布の陥穽

経皮吸収とは、外部からの侵入を防ぐ役割を担う皮膚の組織が剥がれ落ち、そこから有害物質が体内に侵入してしまうことを指します。皮膚の表皮である角質と皮脂膜は、例えば薬用石鹸、液体石鹸等で洗浄されると、一部が剥がれ落ちてしまい、角質細胞の間に隙間が生まれます。この隙間を通じて、様々な有害物質が侵入してしまうのです。表皮の下には真皮や皮下組織が位置しているのですが、ここに毛細血管、リンパ管が張り巡らされています。有害物質はこの毛細血管やリンパ管に吸収されてしまい、全身に送り届けられてしまいます。

 我々は日常生活の中で、身体を何度も洗浄します。それも洗浄力のある洗剤や石鹸を使って行います。誰しも角質や皮脂膜が剥がれ落ちており、経皮吸収の危険性から逃れることはできません。なるべく有害物質を皮膚に近づけないことが大切ですが、あろうことか、わざわざ意図して付着させることがあります。それが湿布です。

湿布も薬剤であることに変わりはありません。湿布には多くの薬剤が塗られており、その中のインドメタシン等が炎症や痛みを和らげてくれます。因みにインドメタシンには鎮痛、解熱、抗炎症作用等の効用があり、経口摂取する解熱鎮痛剤と大差ありません。つまりインドメタシンについても、同様の副作用を心配しなければなりません。実際、湿布を使用することで、消化器、呼吸器、筋肉に副作用が生じることもあります。この副作用で最終的に胃潰瘍に罹ったり、筋肉が痩せたり、喘息が悪化したりすることは、十分考えられるのです。そして湿布の一番怖いところは、こうした副作用を伴う薬剤が塗られているにも関わらず、頻用してしまうことにあります。

目薬の正体

抗アレルギー剤や風邪薬、胃腸薬と並んでよく購入される薬に、目薬があります。目薬は「薬」であると認識されにくいのか、薬局等で気軽に購入します。特にCMにおいて、爽やかな俳優や女優が疲れ目に目薬をさして笑顔になるのを目にすると、危険なものとは夢にも思わず、ついつい手が伸びてしまうようです。もちろん目が相当に疲れているのも事実なのでしょうが、それにしても思慮に欠けた振る舞いです。そもそも充血した疲れ目に薬を投与しなければならないのでしょうか。

 目が充血する仕組みは単純です。白目は太い血管の他、健康な時は現れていない毛細血管が、密に張り巡らされています。目が疲れると血流が悪くなり、毛細血管まで血液が届かなくなります。血液が届かなければ、必要な栄養、酸素を得られずに目が異常をきたすことになりますから、それを防ぐため、毛細血管を拡張し、血液の通りをよくします。この毛細血管の拡張が充血の正体なのです。ですから目の充血は「疲れている」というシグナルではあっても、目の正常な働きに基づいた現象と言え、必要以上に心配することはありません。充血を見て焦ってしまい、すぐに目薬を差す人もいますが、大きな間違いです。

 目薬には充血を抑える効用がありますが、それは血管を締め付ける成分が含まれていることによります。毛細血管が締め付けられれば、充血の機序を考えると、充血が取れるのは当然と言えます。しかし充血の根本原因である酸欠、栄養不足が解消されるわけではなく、むしろ目薬をさすことで悪化してしまいます。この事実を知れば、目薬が怖いものであることが分かるでしょう。目が疲れて酸欠状態に陥っているのであれば、休ませることが何よりも肝心です。つまり睡眠をとることが大切なのです。

抗アレルギー剤と眠気

花粉症の薬である抗アレルギー剤は、処方薬に加え、市販薬としても出回っています。その市販薬の中でよく見かけるのは、「眠気に襲われない」という謳い文句です。これは製薬会社による仕掛けであり、眠くなってしまうことを恐れて薬の購入を躊躇っている人が多いことを踏まえているのです。抗アレルギー剤は単なる薬ですから、アレルギー症状の根本である免疫システムの不調を解消することはできません。ただ症状を抑えるのみです。ですから花粉症の患者は花粉症シーズンの間、繰り返し抗アレルギー剤を購入します。その上、懸念事項である薬の副作用「眠くなる」が取り払われたのであれば、尚更購入意欲は高まります。製薬会社にとって、これほど旨味のある商売はありません。

 抗アレルギー剤は、薬の中でも危険視されにくいものの一つです。全くの誤解なのですが、実際、子どもや高齢者も頻用しています。薬剤師として由々しき事態だと考えます。もちろんアレルギー症状は日常生活を台無しにするほど不快なものであり、時には我慢が出来ずに購入されるでしょう。その際は、せめて薬に添付されている説明書をよく読んでください。そして、どのような副作用の生じる可能性があるのかを、しっかりと確認してください。加えて、家族をはじめ、身近な人に服用の事実を伝えるようにします。服用の直後に万一のことが生じた際、彼らに原因を知ってもらうためです。

 因みに花粉症シーズンはマスクをした人が大勢出現しますが、マスクの予防効果は限られています。全ての花粉をシャットアウトすることなどできません。頼りにし過ぎず、免疫力を高めることが先決です。免疫力が少しでも高まれば、マスクの隙間から侵入する花粉の量にはびくともしなくなります。

手づくりのぬか漬け

 食事の改善を図る上でお勧めしたいのは、ぬか漬けを手作りすることです。つくり方は簡単です。ぬかをフリーザーバッグ等に入れて、塩とお湯と一緒に揉むだけです。そこにニンジンやナス等の野菜を入れてしばらく冷やせば、立派なぬか漬けが出来上がります。このぬか漬けのポイントは、簡単につくれる点です。本格的にぬか漬けをしようものなら、ぬかを煎り、毎日手入れを加えなければなりません。横着に過ごしてきた人が、いきなりそのような大作業を毎日続けることになれば、間違いなく挫折するでしょう。誰でも簡単に実践できる上に、身体の免疫力を高めてくれるような改善法が、一番望ましいのです。

 このぬか漬けなら毎日つくることができ、野菜もしっかり摂取出来ます。加えてぬか漬けは、乳酸菌が大量に含まれています。毎日食べることで、胃腸の調子が良くなり、延いては免疫力が向上するでしょう。味については各人の好み次第です。生姜、唐辛子、昆布等は定番の味付けとしてお薦めです。なお、「ぬか」の入手方法については、自宅の精米機からがベストなのですが、難しい場合はスーパー等で煎りぬかを購入しましょう。

 こうした食生活の改善は、薬に頼らない身体を作ってくれます。薬剤師として言うべきではないのでしょうが、薬は危険であり、使わずに済むのであれば、それに越したことはありません。米国のジョエル・ファーマンは、「薬が、病気を引き起こすようなライフスタイルを助長している」とまで喝破しています。薬に頼っていては、病気を生み出しやすい自分の生活習慣に気付かないものなのです。体調不良に陥った時、その不調の淵源を感得し、自身の生活習慣を見直すことが何よりも大切です。